DV防止法A
2009年4月 第36号

保護命令には、接近禁止命令と退去命令の2種類がある。


接近禁止命令は被害を受けている本人への接近の禁止、即ち住居その他の場所におけるつきまといや

付近の徘徊を禁止するのが元々の制度であったが、法改正により子どもへの接近禁止も認められるようになった。


また、再度の法改正により被害者の親族への接近禁止も認められるようになった。


改正法では更に被害者へ電話等をすることを禁止する制度も取り入れた。

電話等の禁止の内容は、面会の要求、無言電話、連続しての電話、FAX、電子メール、

夜間(午後10時−午前6時)の電話、FAX、電子メールの禁止などである。


接近禁止が認められる場合、その期間は一律に6ヶ月である。


保護命令のもう1種類は退去命令である。


退去命令が出ると加害者は、住居を退去しなければならない。住居付近の徘徊も禁止される。

この期間は一律2ヶ月である。


被害者への保護命令が認められる要件としては、

@申立人が被害者であること、即ち、配偶者から暴力を受けた者であること

又は配偶者から生命、身体に対し害を加える旨の脅迫 を受けた者であること、


A暴力を受けた者にあっては、配偶者からの更なる身体に対する暴力によりその生命、

身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと、脅迫を受けた者にあっては、

配偶者から受ける身体に対する暴力により、生命、身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことが要件となる。


形式的な要件としては、配偶者暴力相談支援センターまたは警察の職員に相談や、

援助、保護を求めた事実があることが必要である。


相談等をしていない場合は、供述書面というものを作成し、公証人に認証してもらう事で代用できる。


手続としては、地方裁判所に申立することになる。申立人の住所地の裁判所でも、相手方の住所地の裁判所でもよい。

暴力が行われた地の裁判所でもよい。申立は書面でしなければならない。

申立があると裁判所は迅速に手続を進めることになっている。


ただし、相手方にも言い分があるだろうから、申立書や証拠の写しは相手方にも送付される。

そして相手方の意見を聞く手続も行われるのが通常である。


命令が発せられるまでの日にちは平均すると12日余りとなっている。


この保護命令に違反して接近したり、退去しない場合には罰則がある。

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる。

保護命令には期間があり、期間を過ぎれば効力がなくなる。このような場合には、再度の保護命令の申立ができる。


接近禁止命令については、初回と同じ要件が必要となる。退去命令については、

2ヶ月以内に被害者が転居することを予定しており、

従って、再度申立にあたっては、被害者の責めに帰することのできない事情

(例えば病気や怪我で療養していた等)などで2ヶ月以内に転居できなかったことが要件となる。


次回はDVを原因とする離婚について。



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