同期
2008年10月 第35号

同期という言葉がある。軍隊などで同期の桜という言い方があるが

法曹(裁判官、検察官、弁護士)の世界でも同期という言葉が使われる。

先日、私も修習36期25周年の会合に出席した。


修習というのは、「司法修習」のことであり、36期というのは、昭和56年に司法試験に合格して、

昭和57年から2年間、司法研修所で勉強した期のことである。

つまり、司法研修所を卒業して25周年の記念の会合があったということである。


卒業後の周年の会合としては10周年、20周年があり、5年ぶりであった。

わずか5年ぶりではあるが、日本全国から集まってくる昔の仲間の顔はなつかしい。


法曹の同期というのは結束が強い。結束が強いのも理由がある。

2年間の修習の最初4ヶ月と最後の4ヶ月は東京で全員の集合修習というのがあった。


間の1年4ヶ月は全国各地にそれぞれ配属されて実務修習をするのである。

この最初と最後の4ヶ月は、松戸にあった寮に住み、電車に乗って湯島にあった司法研修所に通っていた

(もちろん、元から東京に居住している人は寮には入らないが)。


寮で同じ釜の飯を食い、同じ風呂に入り、満員電車に揺られて通学するのであり、自然と一体感が生まれる。

難しい宿題について寮で議論をし酒を飲む。このように私生活でのつき合いがあり、

それぞれの人となりを知ることができるので気心の知れた仲間となっていく。


そこで、同期という強い結束が生まれる。そして、この同期に対する信頼は期を超えて

法曹全体に対する相互信頼という所にまで広がっていたように思われる。


もちろん、同期の全員を知っているわけでもないし、他の期の人はほとんど知らない。

それでも、同期というものを基盤に信頼を裏切らない集団として法曹の間には相互信頼があったと思われる。

このような、法曹の間の結束はギルド社会であるとの批判もあるが、信頼に基づいて仕事を進めることができるということは

プラス面が大きいことも事実である。


しかし、今日、同期間の信頼、法曹間の信頼という面が揺らいできているように思われる。


新しい法曹養成制度(ロー・スクール)ができ、司法修習期間が1年に短縮され、前期修習はなくなり、

後期修習は研修所の卒業試験(2回試験と称する)のため集まるというだけであり、

修習生の間の深いつき合いはなくなりつつあるのではないか。


これからは、卒業したロー・スクール同士での結束というふうに変わってゆくのであろうか。



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